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体罰(後編)

立ち上がり、怒りに身を任せ腕を振り回す将人。麗子はその攻撃を悠々とかわした。
麗子は過去のスパーリングや試合で男は女に思わぬ攻撃を受けると逆上する事を経
験していた。そうなれば男は力任せにパンチを振り回す。麗子はそこに付け入りカ
ウンターからのコンビネーションで対戦してきた男の全てをマットへ沈めてきた。
しかし、二人の実力差を考えると麗子のこの戦術は相手を倒すと言う点において、
効率的とは言えなかった。最初から一気にラッシュを仕掛け叩き伏せる。もしくは
一撃KOで秒殺する事が出来るだけの技術とパンチを麗子は持っていた。
だが、麗子は敢えてこの戦術を選んだ。これは、問題児である将人に対する制裁で
あると同時に自分の強さに粋がっている彼に上には上が居ると言う事実を突き付け
る為の闘いだからだ。

散々、パンチを空振りし息が上がってきた将人の様子を見て麗子はそろそろ、反撃
を始める頃合いだと感じた。
「これから、本格的に貴方へ対する指導を始めるわよ。覚悟は良いかしら?」
麗子はそう言うと将人の顔面へ目掛けワンツー・ストレートを放った。その攻撃に
よろめき後退る将人。麗子は間合いを詰めるとボディアッパーで将人の鳩尾を突き
上げた。その一撃で前のめりになる将人、その顎へ目掛け麗子はアッパーを放った。
今度は勢いよく吹き飛ばされロープへと靠れ掛かり、その反動で再び麗子の制空権
へと飛び込む将人。そこへ容赦のない麗子のストレートが将人の顔と真正面から激
突し、彼の鼻を潰す。
将人は再び勢いよく吹き飛ばされロープへぶつかり、リバウンドでまたも麗子の制
空権へと突入した。続いて左右のフックが将人の両頬を襲う。将人の口から白い欠
片が飛び出した。それは麗子のフックで折られた歯である事は想像に難くなかった。
麗子のブラウスとスカートは汗でその身体に張り付き下着のラインをくっきりと浮
き上がらせていた。だが、将人にはその姿を楽しむ事はなかった。麗子の激しいパ
ンチに晒され意識が朦朧としていた。
麗子は将人をダウンさせない様に彼の体勢をパンチでコントロールしながらコーナ
ーへと追い込んむ。その過程で将人は既に満身創痍となっていた。ボディのあらゆ
る所に紫色の痣が浮かび上がり、顔は至る所に裂傷と痣が覆っていた。
リング上には麗子の猛攻を物語る、将人の血の後と折れた歯が残されていた。
一方、麗子は将人を殴り続けるうちに湧き上がってきたどす黒い衝動と闘っていた。
コーナーポストに磔になった将人を見詰めるうちに既に目的を達したと言う自分と、
将人が今までの様に喧嘩を出来なくなるまでその肉体を破壊し尽くそうと言う自分。
麗子は葛藤していた。
「先生……スイマセンでした……もう二度と」
将人が呼吸する度に喉に張り付く鼻血にむせかえりながら謝罪の言葉を口にし始め
た。だが、そこから先を告げる事は許されなかった。今の一言で麗子のどす黒い破
壊衝動が勝り、将人の腹部を麗子のボディアッパーが抉ったのである。

麗子は将人の謝罪に怒りを覚えたのだ。将人が今まで起こしてきた暴力事件の数々。
その殆どで将人が許しを請う無抵抗な相手に更に暴行を加えていた事が、麗子の破
壊衝動に火を付けたのだ。
麗子のパンチの洗礼は、まずボディを攻める事から始まった。コーナーマットを背
負い衝撃の逃げ場がない状態で次々と打ち込まれるパンチ。その度に将人の口から
声にならない呻きを上げ苦痛に表情を歪ませる。麗子は冷え切った瞳でその様子を
見詰めている。
暫くすると、コーナーに磔にされていた将人の身体が僅かにずり落ちた。麗子はそ
こから攻撃の対象をボディから顔へと移行した。次々と放たれるストレートとコー
ナーマットが将人の頭部をサンドイッチにする。時折、麗子のストレートに因りコ
ーナーマットへ叩付けられた将人の顔が勢いよくリバウンドしてくると麗子はそれ
をアッパーで迎え撃ち、左右のフックを打ち込んでからストレートの乱打を再開す
る。その光景は凄惨さを極めた。

麗子は将人の呼吸音がか細くなってきた事に気付くとその手を止めた。目蓋や頬は
腫れ上がった上に、度重なる打撃により皮膚が裂け出血している。さらに鼻は潰れ、
だらしなく開けられた口から残された歯が覗いていた。
その無惨な姿に麗子は愉悦の笑みを浮かべたがすぐに教育者としての仮面で隠した。
ここまで痛めつければ金輪際、この生徒が暴力事件を含めた非行行為を起こす事は
ない、麗子はそう確信した。そして、麗子は将人の姿を他の問題児達への見せしめ
とした。
殆どの生徒はそれ以来、麗子の制裁を恐れ暴力事件を起こす事はなかった。無論、
将人もその一人だった。
しかし、中には無謀にも将人の敵討ちと称し、麗子へと挑戦する者もいた。麗子は
その度に沸き上がってくるどす黒い衝動に身を任せ、その後に得られるいい知れな
い快楽を貪った。そんな彼女の前に不良達の誰もが、将人と同じ運命を辿った。
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