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春麗VSベガ

春麗は父の敵であるベガの元へとたどり着いた。しかし、その胸中は父の敵を討つ
事よりも自分が格闘家として己の技量を尽くし闘うに足る相手か否かと言う思いば
かりがつのっていた。
今まで世界各地で様々な格闘家と闘ってきたが彼女の流麗かつ重厚な蹴技を完全に
発揮するまでもなく彼らは倒れていった。今回の相手は強靱な肉体を持ちサイコパ
ワーで更にその肉体を活性化させ常勝無敗を誇る裏の格闘界の帝王だが、それだけ
では彼女にとって最強の格闘家である証としては不足だった。
気を練り上げ弾丸の様に打ち出す格闘家、腕をクロスさせる事によって衝撃波を生
み出す軍人、手足を伸ばし炎を操る怪僧、自ら電撃を放つ特異体質の野生児、その
他、様々な常人離れをした技を持つ格闘家から己の肉体のみで勝利してきた彼女か
ら見ればベガのサイコパワーも疑わしい物であった。

そんな思いを巡らせ逡巡しながら春麗は構えを取る。その様子を見たベガは自分の
力に怖気付いたと思い一気に勝負を決める事にした。全身にサイコパワーを漲らせ
間合いを詰めハイキックを放つ。それに対し、春麗はカウンターの上段回し蹴りを
放った。ベガのキックを見てから放たれた春麗の上段回し蹴りはベガの攻撃が彼女
を捉えるより早くベガの側頭部を捉え吹き飛ばす。
カウンターとは言え、たった一発の蹴りを受けよろよろと立ち上がるベガ。そんな
様子を見て春麗は失望した。この男もまた、己の技量を尽くし闘う必要の無い相手
だったと確信したからだ。このまま、止めを刺し父の敵を討つか…そう考えた春麗
はある事を思いついた。今までは蹴技に拘るあまり、その格闘家としての技量を発
揮する事が出来なかったならば、拳技のみで闘ってみてはどうだろうか?既に弱っ
ているとは言え自分が不得手としている拳技ならば…彼女はその思いを早速実行へ
と移す事とした。
「かかって来なさい。今まで貴方が苦しめてきた人達の思いをその体に刻んであげ
るわ」
そう言うと今度は両足を肩幅に開き肩の力を抜き自然体を取った。その様子をみた
ベガは激高し再び春麗へと突進した。サイコパワーを全身に漲らせパンチをキック
を次々と放つベガ。春麗はその場から一歩も動かずに次々とベガの攻撃を捌いてい
く。そして、一瞬の隙を突き踏み込みつつ縦拳をベガの顔めがけ繰り出した。しな
やかで強靱な下半身が生み出す踏み込みと共に放たれた縦拳はベガの鼻を潰した。
ベガは一撃で後ずさると春麗は更に半歩踏みだし崩拳をベガの腹部へ放つ。その一
撃は内蔵へ深刻なダメージを与えた。ベガは膝から崩れ落ちそうになり春麗の肩を
掴み倒れまいと持ち堪える。そんな様子を冷淡な表情で見つめる春麗。

既にベガには闘う余力は残されていない。そう判断した春麗はベガの胸部へと拳を
そえた。そのまま両足でしっかりと大地を踏みしめ、足首、膝、腰、背、肩、肘の
回転を利用し拳を打ち出す。寸打と呼ばれる高等技術である。だが、実戦の最中で
は打ち出す機会があり得ない技でもある。その一撃は体に手をそえた状態から放た
れたとは思えない衝撃をベガに与え再び吹き飛ばした。

既に虫の息で倒れ込んでいるベガを見下ろし春麗は止めを刺す決意をした。ベガへ
と歩み寄ると胸ぐらを掴んで引き起こす。
「最後に私の全力の蹴りを受けて貰うわ。今までの悪事を悔いて逝きなさい…百裂
脚!」
そう言うとベガが崩れ落ちる前に春麗は蹴りを放つ。自分の不得意な技ですらその
全てを出し切る事が出来なかった鬱憤を晴らすが如く次々と全身全霊を込めた蹴り
を放つ。重機関銃による射撃を受けているかの様な錯覚をする春麗の百裂脚で無様
なダンスを披露するベガ。シャドルー総帥の制服が千切れ飛び肉を打つ音と骨が砕
ける音が響き渡る。
「次で止めよ…せぃやっ!」
再び側頭部への上段回し蹴りがベガを襲い側転の様な格好で回転してから地面へ激
突した。身体中のあらゆる骨は蹴り砕かれ、裂傷と痣で覆われていた。無論、息も
絶えていた。
春麗はベガを確保しようとしたが抵抗を受けやむを得ず殺害した事と現場処理の要
請を周辺を封鎖していたICPO後続部隊へ連絡をするとその場を立ち去った。
自分が格闘家として全力を尽くし闘える男、闘いの中でしか味わえない興奮を満た
してくれる男はこの世界には存在しないのだろうかと言う思いを胸に…
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