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ボーパルバニー2

目の前でコーナーポストに背を預け、足を投げたし座り込んでいる男を俺は見
つめ続けていた。
男の顔と身体は至る所に痣が浮かび上がっており、その顔は無惨な有様になっ
ている。
鼻は潰れ鼻孔から夥しい血が流れ出し、両の目蓋は腫れ上がっていた。
特に右の目蓋の腫れは酷く、更には裂けそこからも血液が滴っている。
腫れた目蓋の隙間から覗く目は完全に白目となっていて意識を失っていた。
しかし、時折、身体をひくつかせ命があることを訴えかけている。
今日、俺が挑戦するはずだった王者の醜態。
その姿に俺は脳が焼き切れる程の怒りを感じている。
その怒りは女に為す術も無く倒された王者に対してなのか神聖なタイトルマッ
チを踏みにじったラウンドガールに向けられたものなのか判らないほど、激し
いものだ。
つい先程まで世界最強だった男が担架で運ばれていく。
俺はその様子をずっと眺めていた。
そんな俺にバニーガールが声をかけてくる。
「もうアップは終ったんだけどな~。早くしないとがベルト持って帰っちゃう
よ~」
バーニーガールがそう言い俺に手招きをする。
俺は制止するセコンドを振り切るとリングへと駆け上がり、呆然とするレフェ
リーを無視しバニーガールへと殴りかかった。
世界王者との闘いをウォームアップと言い放ちボクシングを、格闘技を冒涜し
たことを後悔させてやる。
そんな思いを乗せた拳を俺は次々と振るった。
ジャブ、ストレート、フック、アッパー、あらゆるパンチを上下に打ち分けて
様々な角度から俺はバニーガールに拳を叩き付けようとした。
だが、俺の拳はバニーガールのパーリングとバックステップで全て封じられる。
そうする内に俺は怒りを忘れ、怯えながら拳を振るい始めていた。
俺の猛攻を眉一つ動かす、受け流し続けるバニーガール。
その様に俺は今までに感じたことのない重圧を感じ、手を止めたら終りだと思
い始めていた。
「お兄さん、わたしが怖いんでしょ?」
バニーガールは俺が必死に拳を振り続ける様から、俺の心中を察し優しい口調
でそう言ってくる。
その間も俺は拳を振り回しバニーガールはその拳をかわし続ける
「だから、一発で楽にしてあげるね~」
そう言いながら俺の拳をかわしたバニーガールの右の拳が王者に止めを差した
時の様に閃き、黒いグローブが閃光となり俺に襲いかかってきた。
バニーガールの強烈な右フックが俺の左の頬を捉え激しい爆音と衝撃が生じる。
それと同時に俺の咥えていたマウスピースが吹き飛ばされ、揺さぶられた脳が
沸騰したかの様な錯覚を覚えた。
その錯覚と共に俺の身体が弛緩しマットへと倒れ込む。
俺は何とか受け身を取ろうとするが俺の腕は全く言うことを利かなかった。
スローモーションの様に近づいてくるマットを俺は凝視しながら意識を手放し
た。

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