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通過儀礼

 とある大学の構内。感慨深げに古びてはいるが手入れの行き届いた空手部の看板を見つ
める一人の青年がいた。その視線には空手の強豪校として知られるこの大学に入れたと言
う歓喜に満ちていた。
 精悍な顔付き、短く刈り込んだ髪型、着衣の上からもわかる鍛えられた身体が青年が如
何に熱心に空手に打ち込んできたかを伺える。
「君は入部希望?」
 看板を眺める精悍な顔つきの青年の耳にハスキーな女性の声が響く。声に青年は振り向
いた。
 視線の先にいたのは一人の女性。しかも僅か1メートルほどの距離にいる。幾ら看板を
見つめてたとは言え、これほどの距離まで彼女が近づいてきた事に全く気づかなかった事
に驚いた。
 そして、もうひとつ驚いたのは身長180センチ近くある自分と同じ目線の高さにショ
ートカットの女性の顔があったことだった。
「もしかして、君は……推薦入学の竜堂勝君?」
 長身の女性は一度、記憶を探るようにしてから嬉しそうに言った。
「ええ、そうです。俺が竜堂勝です……貴方は?」
 長身とは言えモデルのような体型の女性から自分の素性を言い当たられ驚く勝。
「そうそう自己紹介がまだだったわね。私は結城亜理沙、こう見えても女子空手部主将よ」
 そう言って亜理沙は微笑む。空手をやっているとは思えない優しげな癒し系美人の笑顔
に勝はドキリとした。
「うちの学校は男女共同でこの道場を使ってるの。合同での稽古もあるし、よろしく」
 内心で完全に上がってる勝をよそに亜理沙が挨拶をする。
「お……押忍!よろしくお願いします!」
 亜理沙が女子空手部とは言え主将であると判り、勝は姿勢を正すと深々と礼をした。

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