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ヘビー級女子ボクサー

実際に、彼女が目の前に立ってもオレはその存在を信じることが出来なかった。
ヘビー級ボクサーのように鍛え抜かれた肉体を持つ女の存在を。
そして、その非現実感に拍車をかけたのは彼女のバストだった。
これだけ鍛え上げれば、そのバストは男と同じようになっている。
だが、彼女のバストは女性のそれらしく丸みを帯び、良く実っていた。
オレは目のやり場に困りつつ苦笑を浮かべると彼女はほほえみを返してくる。
その表情にオレは悪い気はしなかった。
鍛え抜かれた肉体と女性の持つ美しいバストの融合。そして、整った顔立ち。
奇妙な組合せではあるもののそれは見事な芸術品だったからだ。
だが、いざ試合が始まるとオレのそんな気持ちは瞬く間に吹き飛んだ。
彼女の放つパンチの数々はその鍛え抜かれた肉体に相応しい、いや、それ以上
の威力を持って俺に襲いかかる。
時折、視界の隅に柔らかく弾む彼女の胸が飛び込んでくるが、その様子を楽し
む余裕は全くオレにはなかった。
オレはガードを吹き飛ばされそうになりつつも彼女へ反撃を試みた。
オレの拳は何度か彼女の身体を捉えたが彼女は上手く打点を外し、急所への直
撃を防ぐ。
そして、オレの拳に伝わる感触は彼女の強靱な筋肉に攻撃が阻まれている空し
さのみだった。
それでも、オレは諦めずに反撃を試みる。
ラウンドを重ねる度にその攻防は加速したが、気が付けばオレの拳は空を切る
ばかりになっていた。
オレのパンチに目が慣れた彼女はその重量級の肉体からは想像も出来ない速度
で次々と回避を繰り返す。
それと同時にオレの顔や身体へ彼女の拳がカウンターで突き刺さる。
その度にオレの脳は揺れ、視界が歪み、内臓が抉られ、神経が麻痺し身体の自
由が奪われた。
そして、迎えた最終ラウンド。
オレはオレをチャンピオンに押し上げた人並み外れた強靱な肉体を呪っていた。
とっくにアドレナリンは切れ、彼女の拳がオレを捉える度に激しい痛みと苦し
みがオレを蝕み、汗と血が肌を伝う感触に悪寒を覚える。
対する彼女は眉ひとつ動かさずひたすらオレを打ちのめし続けた。
冷酷な戦闘マシンさながらの彼女をぼやける視界で眺めるうちにオレは奇妙な
満足感を覚えていた。
オレを王座から引きずり下ろす相手が強靱な肉体と女性の美しさを兼ね備えた
希有な存在であることに。
パワー、テクニック、スピード全てを兼ね備えオレが全力を尽くしても歯が立
たない存在であることに。
そんなオレの視界から顎から突き抜ける衝撃と共に彼女の姿が消える。
オレはその一撃でKOされた事を確信した。
この試合でオレの目に最後に焼き付いたのは満員の観客席と勢い良く飛んでい
くマウスピースだった。
オレはその光景を悔やんだ。
どうせ、KOされるなら彼女の美しい姿をその目に焼き付けたかったと。
必ず再戦を果たし、次に倒れるときは彼女の姿を脳裏に焼き付けながら倒れよ
うと。
全身の力が抜けオレの身体が崩れていくことを感じた。
オレは彼女との再戦を誓うと同時に、更に強くなった彼女が俺の前に立ちはだ
かることを確信しながら意識を手放した。
後で聞いた話だがKOされたオレは遊び疲れて満足げに眠る子供のような表情
をしていたという。
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