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タッグ・マッチ

俺のタッグパートナーは完全に伸びている。
さっきのツープラトンでのリバース・パワーボムで気を失ったようでピクリとも動かない。
そして俺はダブル4の字固めで今にも落ちかけている。
俺は頭がぼうっとしてきて、軋む足の痛みを感じなくなってきていた。
俺達を完膚なきまでに叩きのめしたタッグチームの名はナムコ・エンジェル。
アイドルユニットだ。
俺達はこのカードを聞いた時、何を馬鹿なことを言っているのかと憤慨した。
しかし、実際にリングに上がった途端に俺達は動けなくなった。
ショートカットの女の穏やかな笑顔、銀髪の女の不敵な佇まい。
その存在感に圧倒されてしまった。
まるで新人の頃にトップレスラーと対面した時のように。
もちろん、試合の方も一方的だった。
がむしゃらに組み付いたまではいいが尋常ではない圧力に負け、身体がすくみ技をかけるどころではない。
逆に女たちは俺達が技の練習台と言わんばかりに様々な技を次々とかけてくる。
何度もマットに叩きつけられ、蹴り倒され、殴り飛ばされ、締め上げられた。
俺達が女だ、アイドルだと馬鹿にしていた二人は王者の、いや女帝の風格を以って俺達を圧倒し続ける。
そして、観客達は女達の闘いぶりに熱狂していった。
俺達にブーイングや野次の一つでも飛べばまだ、自分達の存在が認められている、闘えると思っていた。
だが、俺達の存在は無視され女達への声援のみが耳に残る。
ただでさえ、風格に気圧され、肉体的に傷めつけられたところにそれは堪えた。
俺達は意気消沈しこの場を逃げたくなった。
しかし後々、アイドルユニット相手に逃げた男達と誹られるも闘って負けたと詰られる方を選んだ。
もっとも、その選択は今ではどうでも良くなっている。
首筋を締め上げ、足を軋ませる女達の肉付きのいい脚の感触に俺はこれ以上もない屈辱感に苛まれていた。
マットに叩き付けられ気を失ったパートナーを俺は羨み、恨みが俺の胸の中で渦巻く内に俺は意識が薄れていく。
俺の手は首を絞めあげる女の手に添えるだけでギブアップの意思を告げる力も残されていなかった。
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