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春麗VSバイソン(後編)

踏み込みによる運動エネルギーを加えた一撃。そう告げたバイソンの本能は確かに
合っていた。だが、その踏み込みからの攻撃が攻防一致である事までは読み切れな
かった。
バイソンのストレートをダッキングでかわしながら懐に飛び込む春麗。眼前に聳え
立つバイソンの巨躯。そこで春麗は一気に攻撃エネルギーを解放した。踏み込みと
全身の伸び上がり、下半身の回転を加えたボディアッパーを放つ。バイソンの強靱
な腹筋を掻き分け春麗の拳が突き刺さる。かつて受けた事の無いの衝撃がバイソン
の胃や腎臓を揺さぶり激痛を与えた。その激痛に耐えるバイソン。今にも崩れそう
膝に必死に力を入れるとその巨体が小刻みに振動を始めた。その振動はボディへ突
き刺さったままの拳を通し春麗へと伝わった。
その様に春麗は嗜虐的な笑みを浮かべるとボディに突き立てたままの拳を抉った。

「どうかしら、私のボクシングは?初めてだけど様になってるわよね?」
嘲りの言葉をバイソンにぶつけると春麗は抉り込んだ拳を引き抜いた。春麗の責苦
から解放されたバイソンは更なる打撃を防ぎ体力回復の時間を稼ぐ為に彼女にしが
みつきクリンチの体勢を取った。
だが、その選択は意味をなさなかった。春麗はショートフックを肝臓へと放ちクリ
ンチを強引に解いた。よろめくバイソンの顎をフックとアッパーの中間軌道を持つ
春麗のパンチが捕える。
ある名チャンプが得意としたスマッシュと呼ばれるフィニッシュブロウにバイソン
が仰け反り、そのまま背中からダウンしそうになる。それを拒むべく春麗はボディ
へとストレートを放った。直立させられるバイソン、そこへ左右のフックが頬へと
叩き込まれた。
「軽々しく抱きつかないでくれる?私、汗臭い男は嫌いなのよ」
怒りの言葉と共に次々とパンチを放つ春麗。だが、その口調とは裏腹に未だに嗜虐
的な笑みを彼女は浮かべていた。
ボディへのアッパーやストレートでバイソンの体勢がくの字になればアッパーで姿
勢を正し、フックで傾げば逆方向から放たれたフックで直立させられる。バイソン
は降り注ぐパンチの集中豪雨にガードを上げる力すら奪われ、暴力と言う名の荒れ
狂う暴風に心を折られてしまった。シャドルー四天王として裏社会に君臨した男は、
血肉の詰まったパンチバックと化していた。

最早、誰の目にも勝敗は明らかだった。一方的に責め立てる春麗とダウンを許され
ず、只ひたすら殴り続けられるバイソン。過去の闘いでバイソンが行なってきた光
景を再現する美女に誰もが戦慄した。
次第にバイソンの目蓋や頬が腫れ、強烈な打撃により裂けた皮膚から血が流れ始め
た。春麗の拳がバイソンを捕える度にその表情は歪み血が、汗が、折れた歯が飛び
散り始める。対する春麗は自分の拳に秘められていた力を解放し愉悦に浸っていた。

「中々、ハンサムになってきたわね。みんなに最高の顔を見せてあげるのよ」
そう言うと春麗は蹴り技のために鍛え抜いた強靱な下半身を土台にするとバイソン
の鳩尾にボディアッパーを突き刺した。突き上げられた横隔膜が肺を圧迫しバイソ
ンを呼吸困難へと追い込む。
春麗が鳩尾に突き刺した拳を引き抜くとバイソンはよろめきながら口を開閉させ必
死に酸素を求めた。その様は腫上がった両の目蓋も相まって醜怪な深海魚を彷彿さ
せた。その有様にギャンブラーも黒服も言葉を失う。
バイソンはやがて膝が崩れ落ち腹を抱えたま顔から床へダウンした。その芋虫の様
な姿を眺めると春麗は酷薄な笑みを浮かべ言った。
「最高のファイトだったでしょう?私にボクシングを教えてくれたお礼よ。教え子
の勇姿は最高のプレゼントだものね」
その声は既に意識を失ったバイソンの耳には届いていなかった。

数日後、警察病院で目を覚ましたバイソンは取り調べの為に現れた春麗の姿を見る
と恐慌状態に陥り事情聴取は困難となった。やむを得ず別の捜査官が事情聴取にあ
たる。バイソンは幾度か証言を渋った事はあったが事情聴取は比較的、スムーズに
行なわれた。春麗の名を出せばすぐさま、証言を再開したと言う。
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