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女教師、夜のレッスン その2

 ある有名体育大学に推薦で俺は合格した。勿論、あの女教師のお陰だ。
 今まで、俺は先生とのスパーばかりに触れてきたが筋力や体力トレーニング
の内容も先生が全て組んでくれている。
 先生は俺ほどの逸材は見たことがないと言っていたが、俺は未だに先生に拳
を触れることも出来ずに居る。素直には喜べない褒め言葉だ。
 更には妙な噂まで付きまとい始めている。俺が先生と付き合っていると言う
噂だ。個人的なボクシング指導、しかも、KOのオマケ付きスパーまで在るの
が、お付き合いというのであれば、俺は性的倒錯者と言うやつだ。頭が痛い。
「何を悩んでるのかしら、少年」
 背後から俺を悩ませている当の本人の声がする。振り返った俺は顔が熱くなっ
ていくのを感じた。先生の声が妙に艶っぽかったからだ。
 そんな、俺を悪戯っぽい笑みを浮かべたまま見つめる先生。周りの生徒達が
ヒソヒソと声を交わしながら通り過ぎていく。
「今夜、付き合いなさい」
 周りの視線に気づいたのか先生はわざと俺の耳元にで艶かしい声でそう囁い
てから立ち去る。女子生徒の黄色い声が鼓膜に男子生徒の嫉妬の視線が全身に
突き刺さる。誤解はますます深まるばかり。
 しかし、俺は今夜の事を思うと身が引き締まっていった。

 言われたとおりにいつものジムへと俺は向かい、防具を整えウォームアップ
を入念に行ってからリングへと上がる。
「よろしくお願いします」
 俺は卒業まであと何回、お誘いがあるかと考えながら挨拶をする。思い返せ
ば負けてばかりのレッスンだが、こんなに強い相手と闘える機会はめったにな
い。
 俺は先生のレッスンのお陰で合格した大学の先輩と試しにとスパーをさせて
もらった時、相手の動きが手に取るように判る実力を手に入れていた。だが、
先生にパンチをかすらせたことすらない。
 今日も負けるとは判っている。それでも俺はリングへと上がる。
 強い相手と闘いたいと言う闘争本能の欲求。そして、先生の強さの片鱗でも
いいから俺は手にしたい欲求。それが俺の先生とのレッスンを受け入れる理由。
 もしかしたら、これが先生に魅せられてると言うことなのかもしれない。そ
う思うと俺はあの妙な噂はある意味、的を射ていると感じた。
 もっとも、嫉妬の視線を向けてきた男子生徒たちが羨むような関係ではない
のだが。

「考え事はそれくらいにして始めましょう」
 挨拶はしたものの構えも取らずにいた俺を先生が促す。タイマーはない、な
ぜなら先生が3分を体で覚えるようにこの方法を始めたからだ。
 最初の頃は3分が正確に測れず構えを早く解きすぎ無防備になった所をKO
されたり、逆に超えても殴りかかろうとして手痛いカウンターでKOされるこ
ともよくあった。今では先生同様、正確に3分を把握している。
 俺はファイティングポーズを取りフットワークを使いながら先生の死角に回
りこもうとした。これが部員や他校生との試合なら既に有利なポジションを掴
んでいるところだが、先生相手ではそうも行かない。逆に先生のフットワーク
が俺を上回り、瞬く間に翻弄され始めた。
 鋭いジャブの連打からストレートが疾り、更にフック、またはアッパーへと
つながっていくコンビネーション。先生のパンチを頭に貰えばクラクラし、ボ
ディに食らえば息苦しくなるが、俺はなんとかそのコンビネーションの合間に
反撃の手を出していく。
 しかし、先生の身体にはかすりもしない。先生からはディフェンスがまだま
だ甘いと叱責の声がとぶ、そうこうする内に3分が過ぎ、俺の息は既に上がり
始めていた。

 インターバルの後に第2ラウンドが始まる。俺は先生のコンビネーションの
合間に反撃の手を出すのではなく、コンビネーションの2段目、3段目に割り
込むと言う手を考えた。
 ガードを固めていると案の定、先生が圧力をかけ始める。先生のワンツーの
ジャブとストレートの間に俺は辛うじてジャブをねじ込んだ。
 先生の視線が一瞬考えたわねと言うように光る。だが俺のジャブは先生の頭
があったはずの空間を虚しく打っただけだった。
 先生はヘッドスリップしながら俺のボディにストレートを打ち込んできた。
しかも、それは息を吸い力が最も抜けた瞬間にヒットした。文字通り、息が詰
まる。
 だが、俺は無理やり右の拳を先生の低くなった頭部へと目掛けて振った。こ
めかみに入ればKO確実のフックが唸りを上げるがすでにに先生の頭はない。
 逆に先生の左のボディフックが俺の右脇腹を抉る。完璧なタイミングでのリ
バーブロー。肋骨の一番下が軋み目の前が真っ白になる。

 以前の俺ならそこでダウンしていたところだが、先生のレッスンのお陰で俺
は耐えることが出来た。しかし、足元がふらつく。それでも、俺はパンチを繰
り出した。
 まずはワンツー、これは空振り。更に踏み込みながらの左右のフック。足が
もつれ前に進まない。そこへ距離を取っていた先生の左のボディアッパーが鳩
尾を抉る。大量の息が吐き出され腹筋が完全に力を失う。
 そこへ先生が踏み込んできた。次々と俺のボディを先生の拳が捉える。息が
全く出来ずに俺の鍛えた腹筋へまるで障子を突き破る指の様に先生の拳が突き
刺さってくる。
 胃が押しつぶされ、横隔膜が突き上げられ、肝臓がすり潰される。先生の拳
がどんどん加速していき、俺の内臓もそれに合わせて激しくダンスする。
 もはや、何発もらったかまるで分からない。もしかしたら何十発と食らった
のかもしれない。俺の苦しみはそれだけ激しいものだった。
 そこへ、先生の右ボディアッパーが一際、強く、激しく鳩尾を突き上げる。
 俺の口から遂に大量の唾液を吐き出され、マウスピースも零れ落ちた。俺は
腹を抱えて芋虫のようにダウンする。
 意識は未だある。立ち上がろうと試みるが身体は全く俺の言うことを聞こう
としない。
「全く…先が思いやられるわね…良いわ、大学に行っても面倒を見てあげる。
今度は君から先生を呼び出してもいいから」
 先生はグローブを脱ぎ、俺を楽な姿勢に変えてくれてからそう言った。俺は
苦しみの中で先生からレッスンを受け続けられることを喜んでいた。
 いや、それだけではない。どうせなら世界を目指すから面倒を見て欲しいと
まで思っていた。
 先生の厳しかった顔が俺の考えを読み取ったのか嬉しそうに綻ぶ。
「男の子はそれくらいの気持ちがあったほうがいいかもね」
 そう言いながら、先生は俺のヘッドギアを外し頭を撫で始めた。それは、母
に添い寝された子供の頃を思い出すほど心地よかった。

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