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確執(後編)

次第に男が少女の戦術に焦れて行く。そして、とうとう我慢できずに自分からも攻
撃を開始した。その攻撃は精細さに欠き少女に付け入る隙を与えた。それに対し大
胆になる少女の攻撃。様々なパンチを的確な間合いで使い分け鳩尾、心臓、肝臓、
腎臓、胃、顎、顎脇、こめかみとあらゆる急所へ次々と拳を打ち込む。その度、苦
悶に歪む男の表情は少女の良心を蝕んでいった。
遂に男は少女の強烈な右フックを食らい、回れ右を強いられそのまま俯せにダウン
した。四肢を踏ん張り必死に起き上がろうとする男。少女はその様子を眺めて居る
内に男をどの様な格好でダウンさせようかと考え始めていた。

先ず、少女が選んだダウン姿は芋虫の様に這い蹲らせる事だった。少女は腎臓、胃、
鳩尾を中心に徹底的にボディを攻め立てた。時折、男が嘔吐く様なうめき声を上げ
る。その声は少女の嗜虐心をそそった。
遂に男は腹を抱え身体をくの字に折曲げると膝から崩れ落ちた。少女はその様子に
満足すると再び、男が起き上がろうとする様を眺めた。
男がカウントナインで立ち上がりファイティングポーズを取ると少女は次のラウン
ドはどう這い蹲らせてやろうかと考えながら男を嬲る。男は必死に反撃を試みるが
少女の容赦ない攻撃に完全に潰されてしまう。そうする内に第四ラウンドが終了し
た。
男は重い足取りで自分のコーナーへ戻る。その姿もまた少女の嗜虐心を煽り立てた。
男はコーナーへ戻ると会長からもう試合を止めろと告げられた。だが、男は断った。
まだ、俺は立って闘えると頑なに試合の継続を主張した。会長は自分の決断に従い
その主張を受け入れざるを得なかった。
対する少女は対角線上のコーナーの満身創痍の男を見て、優位が動かない事を確信
した。会長が男の元へと赴き、話掛けると諦めの表情を浮かべ、その場を去る姿を
認める。少女は歪んだ笑みを浮かべた。男は試合を続けるつもりだ。男を支えるの
は何か知らないが、それも自分の拳で打ち砕いてみせると。
遂に第五ラウンドが開始された。男は老人の様な足取りで少女は軽快なフットワー
クで互いの間合いを詰める。そして、少女の一方的な攻撃が開始された。

男の弱々しい攻撃を躱し、或いは潰しながら左右のフックを次々と放ち、鋭いワン
ツーを何度も繰り出し、アッパーで男の顎を突き上げ脳を揺さぶる。勿論、その合
間にボディを絡めて内蔵を掻き混ぜる事も忘れない。少女のパンチが男を捉える度
に汗や血、涎が飛び散る。
男は少女の非情な攻撃に自分の選択を後悔していた。リングへ平伏し今までの非礼
を必死に侘びるべきだと。しかし、既に手遅れだった。少女の拳は男の精神を切り
裂く刃と化し、その刃の雨は止む様子を見せない。
ボディを抉られ男は膝から崩れ落ちた。そして、そのまま前へと倒れようとする。
だが、少女との距離が近すぎた。男は少女の双丘へ顔を埋める。男はその感触と自
身の血の臭いに混じり鼻腔をくすぐる、少女の女性独特の甘い香りにも興奮しなかっ
た。男は只、恐怖した。試合中のハプニングとは言え女性の象徴に触れた事により、
謝罪の機会を永遠に逃した事を。

男はなけなしの力を振り絞り少女の身体から自分の身を引きはがそうとした。だが、
それは少女の意外な行動によって阻まれた。少女は男の背中に左腕を回した。男は
その行動に困惑した。そこへ少女の右の拳が男に襲いかかる。少女は男の逃げ場を
左腕で奪ったのだ。少女の拳が男の内蔵を撹拌する。男は呻き声を上げたが、少女
の双房に阻まれた。それは振動となり少女の身体を駆け巡ると、得も言われぬ快感
を与えた。
男の呻きが弱くなると、少女は男の身体を解放した。男は膝を着いたまま後ろへ倒
れ込む。そこへ鋭い右のショートアッパーで男の顎を打ち上げた。その一撃は跪い
ていた男の身体を垂直方向へ浮かび上がらせる。更に、少女のワンツー・ストレー
トが男の顔を襲った。

男は仰向けに倒れ完全に意識を失っていたが、肉体はそれを否定するかの様に必死
に起上がろうとする。しかし、目蓋や頬が張れ、裂傷からの出血で紅に染まった頭
を僅かに持ち上げただけで直ぐに力を失った。
第五ラウンド開始からそれまで、この事態を呆然と眺めていた会長は慌てて医者を
呼んだ。
少女は目の前に横たわる男の無様な姿を冷ややかに見下ろすと自分はこうなるまい
と決意を固める。その後の少女の練習風景は淡々としていながらも鬼気迫るものを
誰もが感じた。そして、少女のスパーリング・パートナーに指名された他の男達は
己の不運を恨むようになっていた。
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