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キャンディ・ケインvsベビーフェイス男子レスラー

とあるプロレス団体のメインイベントは佳境に達していた。
パンクファッションに身を包んだ女子レスラーはロープに振られて戻ってきた、男
子レスラーの頭上を跳び箱の様に飛び越えると太股を顔に絡め、振り子の要領で身
体を入れ替え、男子レスラーの頭頂部をマットへと叩付けた。その技はハイスクー
ルドライバー。女子レスラー、キャンディー・ケインのオリジナルホールドであっ
た。
試合は序盤から、いや、始まる前からキャンディが主導権を握っていた。男子レス
ラーが挑戦するべきチャンピオンを控え室で叩きのめし、ベルトを掲げての入場。
それを阻止しようとするレスラー達。しかし、彼らはキャンディが一睨みするとそ
の鋭い眼光に気圧され誰もが道を譲った。そうして、悠々とリングへ上がるとベル
トを奪った自分がチャンピオンだと告げる傍若無人な主張をし、男子レスラーへの
挑発した。その姿は余りにも不遜ではあったが、ヒールとしての圧倒的な存在感と
敵意を観客に植え付けた。

試合開始からキャンディは男子レスラーを圧倒した。序盤はサイクロンDDTやフ
ランケンシュタイナー等の反動を利用した技や人工衛星アームホイップ、シャイニ
ングウィザードなどのロープカウンターと言ったスピーディーな技を繰り出しつつ、
ダウンした男子レスラーへ対し関節技を決め、徐々にスタミナを奪う、ルチャドー
ラならではの展開を繰り広げた。
更には男子レスラーの打撃をかわしてトラースキックや、組み付きの一瞬の隙を突
き関節技へと持ち込む等のテクニックを見せ付け男子レスラーの反撃を一切、許さ
ない。そうして、その高度なテクニックはキャンディに対し敵意を抱いていた観客
を魅了していった。
次第に、男子レスラーは焦りを見せ始めた。自分の攻撃はあっさりと返されキャン
ディの繰り出す技には全く太刀打ちが出来ない。自分は何をすればこの生意気な小
娘に勝てるのかと悩み始めた時、キャンディはファイトスタイルを切り替えた。
キャンディは男子レスラーを抱え上げるとパワーボムでマットへと叩付ける。
そして、倒れた男子レスラーを無理矢理引き起こすとショートレンジラリアットで
再びマットへと沈めた。
その後は、アルゼンチンバックブリーカーやノーザンライトボム、アトミックドロッ
プと言った力任せの技で男子レスラーを痛めつけ、その間にコーナーやロープへ磔
にしてのボディーブローや顔面ウォッシュ等のヒールならではの反則攻撃をキャン
ディは行った。序盤から男子レスラーの反撃を許さず、主導権を握り続けてきたそ
の姿は観客に、圧倒的な強さでリングに君臨するヒールスター、キャンディ・ケイ
ンを完全に印象づけた。

今や、観客の視線はキャンディに釘付けとなっていた。その一挙手一投足を見守り
キャンディの繰り出す技が決まれば歓声を上げ、ヒールへの讃辞のブーイングを上
げた。そして、キャンディはその歓声やブーイングに対しヒールらしい中指を突き
る、喉を親指で掻き斬る等の仕草や、戯けて相手を嘲笑うかの様に舌を見せるアピ
ールで応えた。それらのアピールに観客は更に熱狂の度合いを強めていく。
男子レスラーはプロレスラーとして強さのみならずスター性でも圧倒されていた。
それは、キャンディの一方的な攻撃に晒されている男子レスラーだけではない。リ
ングの下に集まっていた男達もそうだった。

そうして、今、オリジナルホールドを披露したキャンディはこの試合の仕上げへと
取りかかった。男子レスラーの上半身だけを引き起こすとサッカーボールキックを
男子レスラーへと見舞う。男子レスラーは無様にリングへと叩付けられその反動で
再び上半身を起き上がらせた。そこへキャンディのミドルキックが側頭部を襲う。
その様はサッカー選手が華麗なボレーシュートを決める姿を彷彿させた。だが、男
子レスラーへの責め苦は終わらなかった。
キャンディは再び男子レスラーの上半身を引き起こすと髪の毛を掴んだまま拳を振
り下ろした。キャンディの拳が二発、三発と男の頭部を捕らえる。遂にレフェリー
が髪を掴んだまま攻撃は反則だとキャンディへと警告した。

キャンディはその警告を無視してもう一発、男子レスラーを殴り立ち上がらせた。
そして、男子レスラーをハンマースルーでコーナーポストへと叩付けた。
男子レスラーはコーナーへと激突すると腹をもたれかけたまま磔となった。キャン
ディはその背後から迫るとヘッドロックを掛けロープを顔を擦り付けながら隣のコ
ーナーへと走る。コーナーポストへと頭頂部を叩付けられダウンする男子レスラー。
キャンディはそんな男子レスラーを引き起こし再びコーナーポストへ叩付け磔にす
るとロープに顔を擦り付けながら隣のコーナーへと走った。そうしてキャンディは
リングを一周し、男子レスラーの髪の毛を掴み顔を観客へと向けた。

苦悶の表情を浮かべ、抵抗する力すら残されていない男子レスラーと余裕の表情を
浮かべるキャンディ。その姿はヒーローを痛めつける悪女と言った様相を呈してた。
そして、その悪女は圧倒的な力を持ってヒーローを屈服させんとしている。それは
プロレスにおいてヒールがベビーフェイスを下す醍醐味そのものだった。
観客の興奮は既に最頂点へと達しキャンディの名を連呼していた。そして、キャン
ディはその歓声にフィニッシュアピールで応えた。
キャンディは男子レスラーを引っ立てコーナーへと移動した。そして、男子レスラ
ーをコーナーから一メートル程度の距離で立たせるとコーナーポストへと上った。
かろうじて立ったままの男子レスラー。そこへキャンディは宙へと身を躍らせた。
男子レスラーの胸板にキャンディのダイビングキックが炸裂する。そのまま、キャ
ンディは男子レスラーの身体に乗るとダイビングキックの勢いを殺さずのサーフボ
ードの様に対角線上のコーナーポスト付近まで滑らせた。その荒技はキャンディの
フィニッシュホールド、スライディングショットだった。

体力を根こそぎ奪われ身動きの取れない男子レスラーの胸にキャンディは片足を乗
せると右手を頭に添え、左手を腰に当てるモデルの様なポーズを取った。そして、
それはこの試合の終演を告げるものだった。レフェリーのカウントに合わせて観客
もカウントを行う。遂にカウントスリーが告げられキャンディの勝利が決まった。
リングの下にはこの団体に所属するレスラー達。しかし、誰もがリングへと上がろ
うとはしなかった。
男達はリングの上で歓呼の声に応えアピールを続けるキャンディに圧倒的な存在感
を感じていた。そして、それが幻想や錯覚だと証明できる自信を持った者は居なかっ
た。
男達はこのスレンダーな少女に対する恐怖と屈辱に身を震わせてただ、立ち尽くす
だけだった。
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