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キャンディVSマードック

とあるイベントホールに建てられたオクタゴン。
その中で岩の様な筋肉をした巨漢が対戦相手を待ち受けている。
巨漢はデビュー以来無敗を誇ったバーリトゥード・ファイターであった。だが、
そんな輝かしい経歴に一人のマスクレスラーが傷を付けた。
巨漢はマスクレスラーとリベンジマッチを行うべく、様々な試合に乱入しては
アピールを続けた。そして今日、そのリベンジマッチが開かれる事となった。
この闘いは負けられない。そんな思いを乗せ、猛獣の様な視線を巨漢は花道へ
と向けて送っていた。しかし、その視線の先に現れたのは一人の美少女だった。
年の頃は10代後半。赤く染めた髪をツインテールにまとめパンクファッショ
ンと斜に構えた雰囲気が印象的な少女だった。そして、その少女の手には何か
が握られている。少女は臆する事無く猛獣が待ち受ける金網の中へ入ると手に
握られていた物を巨漢の足下に放り投げた。巨漢はそれを拾い上げると少女は
口を開く。
「アンタの相手…今、伸びてるぜ」

少女が巨漢に投げつけた物…それは巨漢の対戦相手のマスクだった。
「冗談も程々にしろよ、お嬢ちゃん」
巨漢はそんな事はあり得ない、馬鹿馬鹿しいという風に答え立ち去ろうとする。
「逃げるのか?ま、しょうがないか。アイツより弱いし」
そんな巨漢に対して少女は不敵な笑みを浮かべるとこう言った。
その言葉に憤怒の形相を浮かべる巨漢。
「その綺麗な顔が二度と見られなくなっても知らんぞ」
巨漢はそう唸るとファイティングポーズを取る。そして、少女もそれに合わせ
てファイティングポーズを取った。

先に動いたのは巨漢だった。雄叫びを上げながら少女へと突進し拳を振り下ろ
す。だが、少女は当たれば一溜まりもない巨漢の拳に臆することなく踏み込み
ながら拳を繰り出す。それは軸をずらし巨漢の拳をかわすと同時に攻撃を繰り
出す攻防一致の技だった。
その一撃は見事に巨漢の顔面の中心を捉え、巨漢の運動エネルギーと少女の踏
み込み、身体の回転する力等が合わさり巨漢の鼻を潰す。しかし、巨漢を倒す
には至らなかった。
巨漢は少女の一撃など意に介せず幾度も拳を振るう。対する少女は巨漢の拳を
ダッキングやスウェー、ステップワークを駆使しかわしながら拳を繰り出す。
それらは当りは浅いものの確実に、顎、頬、鳩尾、脇腹などの急所を捕え、着
実に巨漢へとダメージを与えた。

巨漢は少女を打撃のみで押しつぶせる。そう高を括っていた。だが、現実は違
った。少女は天才的とも言える見切りで巨漢の拳をかわし続け、致命的なダメ
ージではないものの着実に反撃をしてくる。遂に巨漢は自分本来の闘いをする
決意をした。
打撃でフェイントを行ってから巨漢はタックルを仕掛ける。それは見事に少女
を捕えた。対する少女は受け身を取りマットに叩付けられる衝撃を最小限に抑
えながら、ガードポジションへと移行する。
この少女への打撃は逆に絡め取られ自分が不利になるのではないか。そんな不
安を感じながらも巨漢はあえて、そのままグラウンドの展開へと持ち込もうと
した。力でねじ伏せ関節技に持ち込めば勝機はあると。

関節技を狙い少女と自分を密着させる巨漢。血の匂いに混じり少女独特の甘い
芳香が巨漢の鼻腔を刺激する。だが、その甘い香りには心地良さを感じなかっ
た。それはむしろ、自分を食虫植物に捕えられた昆虫と錯覚させる恐怖の香り
だった。
巨漢はその錯覚に耐えられず少女から身を引きはがす。そして、その判断によ
り巨漢は危機を免れた。少女の関節技が巨漢を捕える寸前だった。
距離を置き再度、ファイティングポーズを取る巨漢。一方、少女も立ち上がる
とファイティングポーズを取った。

再び、対峙する二人。その様子は対照的だった。
攻撃の空振りと少女から受けた急所への打撃に加え、最初の一撃で潰され鼻か
ら流れ出た血が喉に絡みを乱している巨漢。スタミナも限界に達し焦燥感を漂
わせている。
それに対し、大きなダメージもなく正確な呼吸を保っている少女。その表情か
らは余裕が読み取れる。
にらみ合う二人。先に動き出したの少女の方だった。その姿は自分よりも大き
い草食獣を狩る肉食獣を想像させた。

一気に間合いを詰めトゥーキックを放つ少女。硬いブーツのつま先が巨漢の鳩
尾を突き刺す。巨漢は苦痛のうめき声を上げる。
巨漢のコンディションが万全であればその一撃は強靱な腹筋に阻まれ、軽いダ
メージで済んでいただろう。だが、今の巨漢は完全に息が乱れている。少女は
巨漢の呼吸を読み、その鎧がもっとも脆弱になる瞬間に一撃を加えた。
その効果は少女の自分より遥かに体格に勝る巨漢を屈服させるには十分だった。
だが、少女の攻撃を緩める事は無かった。
腹部への強烈な打撃を喰らい下がってきた巨漢の頭を掴むと二発、三発と容赦
なく膝を叩き込む。巨漢は少女の激しい打撃の中、状況を打破しようと漠然と
少女の身体に手を伸ばした。
しかし、その気配を察した少女は巨漢の頭に渾身の膝を入れた瞬間にその手を
離す。少女のくびきから解放された巨漢は口から鮮血と折れた歯が迸らせ、仰
け反りバランスを崩した。。
そこへ少女はタックルを仕掛け、巨漢の足をすくい上げた。巨漢は受け身も取
れずをマットへと叩付けられる。

少女は巨漢に馬乗りになり、次々と拳を振り下ろした。巨漢の後頭部が堅いマ
ットに打ち付けられ、その頭蓋の中で脳が激しく揺さぶられる。
巨漢は少女の拳から頭部を守るべく必死に腕を動かそうとした。しかし、少女
の拳は鋭く巨漢の神経伝達を断ち切る。巨漢は為す術もなく少女の拳に晒され
続けた。
次第に巨漢の目は焦点が合わなくなり、歓声や少女の打撃音が歪んで聞こえ始
めた。
薄れゆく意識の中で巨漢は少女のクレバーさを悟った。感情に任せたファイト
を繰り広げるかのような外見、挑発的な態度、それらは相手の心理を巧みに操
り試合を自分のペースに持ち込む手管のであった。そして、ジワジワと体力を
奪う試合運びと相手の攻撃を見きる目。
少女は力だけでは辿り着けない高みに居る事、巨漢を敗北させたマスクレスラ
ーも同じ様に倒した事を確信した。そこで巨漢の意識は途切れる。

少女は巨漢が白目を剥いて気を失うとその拳を納めた。巨漢の顔は血に塗れ、
至る所が腫れ上がり、裂傷と痣に覆われ何者であったか判別できなくなってい
た。
少女は立ち上がると、気絶した巨漢を見下ろしながら満足げに拳を掌に打ち付
ける。そんな少女は自分を包む歓声に気づいた。少女はその歓声に応え、拳を
高々と突き上げる。それと同時に観客のボルテージは最高潮に達した。
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